甘々重々御曹司に愛されすぎて困ってます



マイクの前へ促され、その通りに立つや否や、柳さんに軽く肩を抱かれる。


「彼女は私の友人、榊原倫太郎の秘書をされています。倫太郎さんからは既に直接お祝いの言葉をいただいたので、この場では彼女にお願いしたいと思います」


ね?と私の顔を覗き込み、笑う柳さん。案の定、目が笑っていない。こ、この人、とことんサイコパス………!!!!!


そんな彼の発言から、会場がまたしても拍手の渦に巻き込まれる。


震える右手を、同じように震えている左手で抑え込む。

私、会社でもろくに人前で話したことなんかないのに。ましてやここは会社の会議やただの集まりなんかではない。外部のお偉いさん方が集まるやんごとなきパーティー会場。

私の発言の一つ一つが、一挙手一投足が、榊原グループに影響を与えかねない。


恐らく、柳さんの目的はこれだろう。
私が恥をかくということは、榊原さんも恥をかくということ。なんて、卑怯な人。


気持ちが思いつめられていく。そんな中、ふと視界の端にひとつの動く影を捉えた。それを追うように顔をあげ、目を懲らす。


「(あれは…榊原さん…!)」


あの勢い、まさかステージに上がってくるつもりじゃ…!?!