けれど安心するにはまだ早い。〝ここら辺にいろ〟とは言われたけれど、この場にこれ以上ひとりでいるのはあまり良くない気がする。
____少しでも早く榊原さんと会わないと。
そう思い、固まっていた足を1歩前へ踏み出した時だった。
急に会場内が暗転し、何事かと思えば、ステージに光が集まった。
「えー皆様、本日はお忙しい中お集まりいただき、ありがとうございます。柳財閥会長の柳光俊でございます」
大きな拍手で会場が埋まる。
このパーティー、柳財閥が開いたものだったんだ。
早く榊原さんと合流したいのに、こんな薄暗い会場内では誰が誰だか分からない。
「ここで私の息子、柳颯馬に挨拶をかわりたいと思います」
柳颯馬……やっぱり。彼が柳財閥の御曹司。
彼の眉目秀麗さはステージ上でもやはり目立っていて、会場内がザワつくほどだった。
「皆様、この度は御足労いただきありがとうございます。このような素敵な誕生日を迎えられたこと、大変光栄に思います。」
深く頭を下げる柳さん。ひとつひとつの動作が美しく、品に満ち溢れている。
「皆様に期待していただけますよう、会長の息子として精一杯尽くしてまいりたいと思います。」
恐るべし柳颯馬。私の前にたっている時とまるで人が違う。あんなに嫌味たらしさ全開だったのに。逆にあれはなんだったんだ?



