「お坊ちゃんをこれからよろしくお願いしますね。」
キョロキョロと辺りを見渡して落ち着きのない様子を見せてしまったことを恥ずかしく思いながら、「こちらこそよろしくお願いします」と深々と頭を下げた。
こんな綺麗なドレスが似合うわけない、こんな見ればわかるお高いメイク用品を私なんぞがつけるのは勿体無いなどと、改めて自分のモチベーションの低さに絶望しながら、坂場さんに手際良く施された。
胸元まである長い髪も綺麗にヘアアップされ、最後に鏡を見た時は本当にこれが自分なのかと驚いた。
「金澤さん、本当に綺麗ですよ。」
つい坂場さんの社交辞令に照れる。
「坊ちゃん、できましたよ」
坂場さんの声を合図に、榊原さんがガチャと扉を開けた。
そして私を見るなり、榊原さんの動きがピタリと止まった。



