「あ、あの」
大きな背中に小さな声をぶつける。
と、急に止まった歩みに急ブレーキをかけた。
「あんたさ、いじめられてたの?」
「え」
あまりにもストレートな問いかけに間抜けな声が出た。
「昨日泣いてたのはそのせい?」
やっぱり勘が鋭い。苦手だ、本当に。
沈黙は肯定になる。そうは分かっているけれど、うまい言葉が出てこない。
「ま、自信持ちなよ。俺の秘書に推薦されてんだから」
矢先、視界を通った大きな手。
「わっ、」
唐突に頭部に重みを感じて驚く。
「な?」と念を押すように言いながら、下に向けていた私の視線に無理に入り込み、ニッと笑う榊原さん。
重たいダンボールを片手で持って、空いた手で私の頭を撫でてくるなど……なんて男。不覚にも心臓がなってしまったではないか。



