私は少しだけ口を開けたまま、言葉に詰まった。
無愛想でそっけないくせに、こういうときは律儀って、どういう性格してるんだか。
「…じゃあ、ボールかご中に運んでもらおうかな」
そう言うと、矢吹は小さく頷いて、無言のままボールかごを押し始めた。
正直、一人で運ぶには重かったから助かっている。
「…ありがと」
背中越しにそう言うと、矢吹は小さく息を呑むように「…いえ」と返事をした。
ちゃんと返事をしてくれたことが少し意外で、なんだか嬉しくなった。
「…さっきのプレーもよかったよ。悔しいけど、やっぱり見惚れちゃう」
口に出すのは照れくさかったけど、それでも本音を伝えずにはいられなくなった。
