フェア当日の会場は、
まだ本番前だというのに、すでに人の気配で満ちていた。
グラスの音。
照明の調整。
控えめなBGM。
ひかりは進行表を確認しながら、
併設バーの様子に視線を送る。
カウンターの内側で、
直が黙々と準備を進めていた。
必要なものだけを並べ、
動きは最小限。
でも、
無駄がない。
仕事として一緒に立っていることが、
やっぱり少し誇らしかった。
「ひかりさん」
声をかけられて振り向くと、
展示スペースの奥から、紬ちゃんが手を振っていた。
紬《つむぎ》ちゃんは、
この一年ほどで、ルミエールのフェアに出入りするようになったフリーのジュエリーデザイナーだった。
小さなアトリエで、
婚約指輪やマリッジリングを一つずつ手作りしている。
「結婚式って、やっぱり特別じゃないですか」
そう言って笑う顔は、
いつも少しだけ夢を見ている。
ひかりとは、
フェアのたびに顔を合わせるうちに、
自然と話すようになった。
仕事の合間に、
最近のデザインの話や、
どんな新郎新婦が来ていたかを共有する程度。
それでも、
結婚に対してどこか距離を置くひかりと、
結婚に希望を抱いている紬ちゃんは、
不思議と噛み合っていた。
だからこそ、
彼女の「違和感」は、
ひかりにも、すぐ伝わった。
まだ本番前だというのに、すでに人の気配で満ちていた。
グラスの音。
照明の調整。
控えめなBGM。
ひかりは進行表を確認しながら、
併設バーの様子に視線を送る。
カウンターの内側で、
直が黙々と準備を進めていた。
必要なものだけを並べ、
動きは最小限。
でも、
無駄がない。
仕事として一緒に立っていることが、
やっぱり少し誇らしかった。
「ひかりさん」
声をかけられて振り向くと、
展示スペースの奥から、紬ちゃんが手を振っていた。
紬《つむぎ》ちゃんは、
この一年ほどで、ルミエールのフェアに出入りするようになったフリーのジュエリーデザイナーだった。
小さなアトリエで、
婚約指輪やマリッジリングを一つずつ手作りしている。
「結婚式って、やっぱり特別じゃないですか」
そう言って笑う顔は、
いつも少しだけ夢を見ている。
ひかりとは、
フェアのたびに顔を合わせるうちに、
自然と話すようになった。
仕事の合間に、
最近のデザインの話や、
どんな新郎新婦が来ていたかを共有する程度。
それでも、
結婚に対してどこか距離を置くひかりと、
結婚に希望を抱いている紬ちゃんは、
不思議と噛み合っていた。
だからこそ、
彼女の「違和感」は、
ひかりにも、すぐ伝わった。
