交際は、順調だった。
連絡は、無理のない頻度で続いている。
会えない日が続いても、不安になることはなかった。
直は、変わらず多くを語らない。
でも、必要なところだけ、きちんと一緒にいる。
ひかりもまた、
“恋人だから”と何かを期待しすぎることはなかった。
その距離感が、心地よかった。
——そんな日常に、
久しぶりに仕事の匂いが混じったのは、
3月の予定を確認していたときだった。
ジューンブライドに向けた、
春開催の大型ブライダルフェア。
ひかりの担当は、
披露宴会場と併設バーを使った、体験型の演出だった。
新郎新婦をイメージした、
オリジナルカクテルを提供するプラン。
“結婚式の一日を、味でも記憶に残す”。
企画としては、悪くない。
問題は、そこにあった。
併設バーのスタッフが、
ちょうどその日、
フレアの大会と重なっていて、全員出られない。
演出そのものを変えることも考えた。
けれど、上司からは、
「前にお願いしたことがあるなら、外部スタッフに頼むのも一つだ」と
現実的な助言が返ってきた。
ひかりは、
進行表を見つめながら、
自然と一人の顔を思い浮かべていた。
——直。
仕事として信頼できて、
場の空気を壊さない。
なにより、
“演出しすぎない”人。
ひかりは、スマートフォンを手に取る。
これは、仕事の依頼だ。
そう自分に言い聞かせてから、
メッセージを打ち始めた。
連絡は、無理のない頻度で続いている。
会えない日が続いても、不安になることはなかった。
直は、変わらず多くを語らない。
でも、必要なところだけ、きちんと一緒にいる。
ひかりもまた、
“恋人だから”と何かを期待しすぎることはなかった。
その距離感が、心地よかった。
——そんな日常に、
久しぶりに仕事の匂いが混じったのは、
3月の予定を確認していたときだった。
ジューンブライドに向けた、
春開催の大型ブライダルフェア。
ひかりの担当は、
披露宴会場と併設バーを使った、体験型の演出だった。
新郎新婦をイメージした、
オリジナルカクテルを提供するプラン。
“結婚式の一日を、味でも記憶に残す”。
企画としては、悪くない。
問題は、そこにあった。
併設バーのスタッフが、
ちょうどその日、
フレアの大会と重なっていて、全員出られない。
演出そのものを変えることも考えた。
けれど、上司からは、
「前にお願いしたことがあるなら、外部スタッフに頼むのも一つだ」と
現実的な助言が返ってきた。
ひかりは、
進行表を見つめながら、
自然と一人の顔を思い浮かべていた。
——直。
仕事として信頼できて、
場の空気を壊さない。
なにより、
“演出しすぎない”人。
ひかりは、スマートフォンを手に取る。
これは、仕事の依頼だ。
そう自分に言い聞かせてから、
メッセージを打ち始めた。
