会えない理由を考えたわけじゃない。
連絡先を知りたいとも、思わなかった。
ただ、
「また来るだろう」という前提が、
いつの間にか、自分の中にあった。
だから、
今日、扉が開いたとき。
顔を上げる前に、
もう、わかっていた。
久しぶりですね。
そう言った自分の声が、
いつもより柔らかかったことに、
直は気づいていた。
彼女が、強めを頼んだとき、
少しだけ、間を置いた。
理由を聞くつもりはなかった。
でも、今日は違うと、はっきりわかった。
強さじゃなく、深さ。
そう選んだのは、
彼女が“耐えたい”夜じゃないと、感じたからだ。
——立っていようとしている夜。
だから、
ここにいていい、という形だけを残した。
それで十分だと思っていた。
彼女が、
自分の言葉で、ここに来た理由を話し始めるまでは。
恋だと気づいた。
どうしたらいいかは、まだわからない。
その言葉を聞いたとき、
直は、すぐに答えを出さなかった。
嬉しい、とは違う。
驚きとも、少し違う。
ただ、
「ああ、同じ場所に立っていたんだな」
そう思った。
一人で抱えなくていい。
そう言ったのは、
慰めでも、逃げ道でもない。
自分が、
そうしたいと思ったからだ。
連絡先を知りたいとも、思わなかった。
ただ、
「また来るだろう」という前提が、
いつの間にか、自分の中にあった。
だから、
今日、扉が開いたとき。
顔を上げる前に、
もう、わかっていた。
久しぶりですね。
そう言った自分の声が、
いつもより柔らかかったことに、
直は気づいていた。
彼女が、強めを頼んだとき、
少しだけ、間を置いた。
理由を聞くつもりはなかった。
でも、今日は違うと、はっきりわかった。
強さじゃなく、深さ。
そう選んだのは、
彼女が“耐えたい”夜じゃないと、感じたからだ。
——立っていようとしている夜。
だから、
ここにいていい、という形だけを残した。
それで十分だと思っていた。
彼女が、
自分の言葉で、ここに来た理由を話し始めるまでは。
恋だと気づいた。
どうしたらいいかは、まだわからない。
その言葉を聞いたとき、
直は、すぐに答えを出さなかった。
嬉しい、とは違う。
驚きとも、少し違う。
ただ、
「ああ、同じ場所に立っていたんだな」
そう思った。
一人で抱えなくていい。
そう言ったのは、
慰めでも、逃げ道でもない。
自分が、
そうしたいと思ったからだ。
