視線は、
深追いしない距離のまま。
「それでも、
来たんですね」
確認でも、
問い詰めでもない。
ひかりは、
小さく頷いた。
「はい」
短い返事。
でも、
迷いはなかった。
直は、
ほんのわずかに口角を上げる。
「……それでいいと思います」
理由は、言わない。
正解も、出さない。
ただ、
その場に立つことを、
肯定する。
ひかりは、
胸の奥が、
静かにほどけていくのを感じた。
強いお酒が、
喉を通る。
でも、
酔う感じは、しない。
ただ、
ずっと張っていた何かが、
少しずつ緩んでいくだけだった。
グラスの中身が、少しずつ減っていく。
強いはずのお酒は、
思ったほど、きつくなかった。
ひかりは、
そのことに気づいて、
小さく息を吐く。
今日は、
答えを出すために来たわけじゃない。
ただ、
ここに来た自分を、
否定しなくてよかった。
それだけで、
この夜は、十分だった。
