直は、ひかりの手を取った。
引く、というより
確かめるような力。
立ち上がる瞬間、
ひかりの体が、ほんの少し遅れて動く。
それだけで、
直は分かってしまった。
——ああ。
——思ってたより、ずっと。
無理に近づかない。
距離を詰める代わりに、歩調を合わせる。
「……ゆっくりでいい」
声は低く、柔らかい。
ひかりが小さく頷く。
目を合わせられないまま、
指先だけが、直の袖を掴んでいる。
離れないための仕草。
直は、その手を包んだ。
「大丈夫」
言い聞かせるみたいに。
その一言で、
ひかりの肩から、少しだけ力が抜ける。
「……慣れてなくて」
ひかりは、言い切る前に視線を落とした。
直は、何も聞き返さない。
ただ、
「知ってる」
そう言って、
歩く速度を、もう一段落とした。
ひかりが一歩、近づく。
その距離で、
息が、重なる。
直は、すぐには口づけなかった。
ほんの一瞬、
ひかりの目を見る。
問いかけるように。
ひかりが、わずかに頷いた。
それで十分だった。
唇が触れる。
深くはない。
でも、離れない。
直は、ひかりの背中に手を回す。
強く抱かない。
でも、離す気もない。
キスが、二度目になる頃には、
もう、呼吸のリズムが揃っていた。
直は、ひかりの額に額を寄せて、低く言う。
「……大丈夫」
言葉より先に、
その体温が伝わる。
ベッドが、静かに軋む。
直は、ひかりを抱え込むようにして、
ゆっくり体重を預けた。
急がない。
急がせない。
そのまま、
灯りの落ちた部屋に、二人の影が溶けていった。
引く、というより
確かめるような力。
立ち上がる瞬間、
ひかりの体が、ほんの少し遅れて動く。
それだけで、
直は分かってしまった。
——ああ。
——思ってたより、ずっと。
無理に近づかない。
距離を詰める代わりに、歩調を合わせる。
「……ゆっくりでいい」
声は低く、柔らかい。
ひかりが小さく頷く。
目を合わせられないまま、
指先だけが、直の袖を掴んでいる。
離れないための仕草。
直は、その手を包んだ。
「大丈夫」
言い聞かせるみたいに。
その一言で、
ひかりの肩から、少しだけ力が抜ける。
「……慣れてなくて」
ひかりは、言い切る前に視線を落とした。
直は、何も聞き返さない。
ただ、
「知ってる」
そう言って、
歩く速度を、もう一段落とした。
ひかりが一歩、近づく。
その距離で、
息が、重なる。
直は、すぐには口づけなかった。
ほんの一瞬、
ひかりの目を見る。
問いかけるように。
ひかりが、わずかに頷いた。
それで十分だった。
唇が触れる。
深くはない。
でも、離れない。
直は、ひかりの背中に手を回す。
強く抱かない。
でも、離す気もない。
キスが、二度目になる頃には、
もう、呼吸のリズムが揃っていた。
直は、ひかりの額に額を寄せて、低く言う。
「……大丈夫」
言葉より先に、
その体温が伝わる。
ベッドが、静かに軋む。
直は、ひかりを抱え込むようにして、
ゆっくり体重を預けた。
急がない。
急がせない。
そのまま、
灯りの落ちた部屋に、二人の影が溶けていった。
