魔法学校☆アルミラージ

「……自分の殻を破りたければ…か」

義理の父親から虐待され母親からは見放され2人の間に新しく子供…弟のノアが生まれてから家でのリュカの居場所は何処にもなくなってしまった。唯一自分が安心して居られる場所が音楽の世界だけだった。歌やダンスをしてる時は嫌な事が全部忘れられた、ここだけが自分の居場所だと分かった。だから居場所を失わないためにリュカはずっと歌やダンスを誰よりも頑張ってきた。それなのに…

『リュカ、お前は何のために歌やダンスをやっているんだ?』

ジェイデンに問われた事を思い出してリュカは悔しそうにギリッと歯を食いしばると さっきオーブリーから渡された紙をグシャっと握りつぶした。

こんなわけが分からないおかしな世界に来てしまった事でいっぱいいっぱいだって言うのにレイは相変わらず呑気だから自分だけでも何とか元の世界に帰れる方法がパライバトル以外にも何かないか1人で探したりしてて毎日頭パンクしそうになってるって言うのに、元の世界の方でもエマやフィリップにも散々言われてて参ってるのに何でこっちの世界に来てまで俺の歌やダンスはあれこれ言われなきゃならない!?  

何で何処に居ても俺だけがいつも言われるんだ!?どうしていつまで経っても上手く出来ないんだ!?俺の歌やダンスは間違いなく完璧なはずだ!!愛ってなんだよ!?見てて疲れるって何だよ!?面白くないってどう言う意味だよ!?ちゃんとやってるじゃないか!俺はちゃんと!!“ちゃんと!!”

「リュカ!」

我に帰って顔を上げると廊下の向こうから自分を迎えに来たアシェルが笑顔でリュカに向かって両手を振っていた。

「お疲れ様!…あれっ?なんか元気ない…リュカ疲れてるみたい……。今日のテストいつもより厳しかったの?」

心配そうに聞いてくる自分の弟そっくりなアシェルを見てリュカは何だか少しホッとすると「疲れてない、大丈夫」と言ってアシェルの頭を優しく撫でた。

「嘘だよ、リュカ疲れてる…」

「……」

「疲れた時は疲れたって言って良いんだっていつも僕のお爺ちゃんが言ってるよ?疲れたって言うのは恥ずかしい事でも悪い事でもないんだって」

「……」

「僕、誰にも言わないよ?約束する」

「……た」

「え?」

リュカはアシェルの前にしゃがみこむと膝に顔をうずめて「疲れた」と正直に言った。