「……ダメだな」ジェイデンは首を振った。
個人試験を終えたリュカは汗を拭いながら不服そうな顔をして「何がダメなんですか?俺は完璧だったはずです。音程も外してないし、ダンスも課題で出された通りのを間違いなく踊り切りました」とジェイデンに強く言い返した。
「だからダメなんだ」
「仰ってる意味が分かりません。俺は課題で出されたものを完璧にやりました」
「完璧すぎてダメだと言ってんだ」
「は?」
「リュカ、お前がうちの学園に転入したての頃、俺がお前に言った言葉を覚えてるか?」
「……愛のカケラがないとかサイボーグとか言われました」
「そうだ。お前の相棒のレイの方は少しずつだがステージに居るのは自分だけではない事を意識し始めて周りと合わせられるようになってきている、それなのにあの時あれだけ分かりやすく教えてやったって言うのにお前の歌やダンスはあの時から何ひとつ変わってない。
さっきからお前は自分は完璧だと何回も言っていたが、確かにお前の歌もダンスも間違いなくちゃんと出来ている。とくにダンスに関しては文句のつけようがないほど本当に上手だ。だけどそれが逆にダメ過ぎるんだよ。
あまりにも完璧すぎてパフォーマンスしてるお前の方から見ている俺達観客側に“俺は周りと違って出来る奴なんだ、だからこのくらい出来て当然だろ?”と言う自信過剰な気持ちが伝わってきて、俺達観客側はあんまりにもリュカが完璧すぎるから何処かで失敗したらどうしようと逆にハラハラしてしまって全くお前のパフォーマンスを最後まで楽しんで見ていられないんだ。この意味が分かるか?」
リュカは「いえ…」と首を横に振った。
「お前のパフォーマンスは見ていてドッと疲れる。何にも楽しくないんだ」
ジェイデンはリュカの目を真っ直ぐ見つめて言い切ると最後にこう聞いた。
「リュカ、お前は何のために歌やダンスをやっているんだ?」と。



