広場にきらきら輝く個性豊かなオーナメントが飾られたあちこちの出店にはホットチョコレートやたくさんのナッツやドライフルーツが練り込まれたシュトーレン、チョコチップやストロベリーなんかの色んな味のカラフルなクッキーなんかが売られてあり、広場のど真ん中には沢山のプレゼントやぬいぐるみで囲まれた可愛らしい飾り付けがされた大きなもみの木があった。それはまるでレイ達の住んでる国で例えるとクリスマスのようだった。
親子連れや恋人・友達同士 色んな人達で溢れかえった広場のお祭りはそれはそれは賑やかでどこもかしこも笑顔でいっぱいだ。
「……綺麗」 大きなもみの木を見上げてレイが思わず呟くと「私が初めて人前で歌やダンスを披露したのはこの場所なんだよ」とベールが言った。
「ここで?」
「そうだよ。同じ演劇合唱団に入っていた近所の友人達と一緒にね。……私は幼い頃 人前で声を出す事が恥ずかしくて周りの子達のように言いたい事や思ってる事をはっきり喋れない子供だったんだ。だけどそんな私に 一緒に歌を歌わないか?と声をかけてくれた子が現れた。幼なじみのマチルダピーチだった」
「…えっ、マチルダピーチって…確かミュージカル女優でプリンセス役をしたりしてるってエミリーが言ってた…そのマチルダピーチ?」
「おや知ってたんだね?ふふっ、そうだよ。その子の事さ。同じミドルスクールに通っていた彼女が私の手を引っ張って自分の両親が開いている演劇合唱団に私を連れて行ってくれた。それがきっかけで夢がなかった私は夢を持つ事の楽しさを知り、今私はたくさんの人に自分の歌やダンスを通して夢や希望の橋をかけてあげられる先生になり、ミュージカル俳優になれたんだ」
『ベールも一緒に歌いましょうよ!』
『でっ、でも僕…恥ずかしいよ…それに歌もダンスも出来ない…』
『出来なくても大丈夫よ!大切なのは自分が楽しむ事だってパパとママが言ってたわ!』
幼い頃マチルダピーチに手を引かれて演劇合唱団に連れて行かれた日の事を懐かしく思い出しながらベールがもみの木を見ていると それをちらっと見たレイは「そうなんだ…ベールさんにもそんな時があったんだね」と呟いた。



