最強女子にも帰る場所がある~Choice your back home~

 そして、体育の時間は球技大会の時間になった。

 私はサッカーでグランドに、蘭はバスケで体育館のはずなのに、


「蘭はどうしてここに?」

「サッカー部だから教えるように体育教師に言われているんだよ。」

「そうなんだ。」

「というか、美夜はサッカーできんのかよ?」

「ルールは一応理解した。」

「へぇ…。」

「蹴ればいいんだよね?」

「いや、蹴ればいいんだよね?じゃねぇよ!」


 私の声真似をしながらツッコミを入れる蘭。


「あと、微妙に誤解される表現だぞ、それ……ってなんだよ、じっと見て…。」

「声真似へたくそ。」

「今更かよ!というか、そこじゃねぇ!」

「蘭、さっきからうるさい。」

「お前がそうさせてんだろ!」

「責任転嫁だ…。」

「……セキニンテンカ?なんだよそれ。」

「……。」


 そうだった。

 蘭は成績が悪かったんだった。


「おい、だんまりすんなっつーの!」

「あ、そう言えばさ。」

「話変えんな!…で、何だよ。」

「草野霞先輩って知ってる?」

「は?」


 彼の声が低くなって、周りの女子の肩が跳ねた。


「おい…。」

「あ、あ~。月下さん、ちょっと来て~。」

「蘭君、ちょっと月下さん借りるね~。」


 何か言おうとした蘭の間の女の子達がズイッと入ってきて、私を影になっている所まで連れ去る。


「月下さん、ダメだよ。蘭君に霞先輩の話をしたら。」

「なんで?同じサッカー部なんでしょ?」

「……同じ部活に所属していても、ちょっと事情がね…。」

「ん?」

「ほら、二人って性格が違うじゃん?そして、二人ともプレースタイルが違って仲違いしてんのよね…。」

「喧嘩中?」

「そういうこと。だから、迂闊に蘭君の前では絶対に霞先輩の話をしたらダメだよ?」

「分かった。」


 どうやら、部活というものは大変らしい。

 その日は蘭の機嫌が一日中悪く、二人のことを教えてくれた女の子達に「ね?こうなるからやめとき。」って目を向けられた。

 しかし、一日もすれば蘭の機嫌は回復したのか、翌日には


「美夜~、鬼ごっこしようぜ~。」


 といつもの感じで誘ってきた。

 蘭の前で草野先輩の話は今後しないようにする、と脳内でメモる。