最強女子にも帰る場所がある~Choice your back home~

 その週のとある日。

 移動教室で英の教室を通りかかる。

 しかし、いつもよりなんだか静か…?

 教室をチラッと覗くと英が一人でいた。


「ねぇ、咲奈ちゃん。英が珍しく一人なんだけど…。」


 いつもはいろんな人に囲まれてニコニコしているのに、今は教室の隅で一人でいる。

 なんだか、子犬から孤立した狼のように見える。


「あぁ、なんかね…。」


 咲奈ちゃんはなんだか言いにくそうだ。


「あのクラスの中の一人がSNSの乗っ取りをしてね…。いろんな情報をクラスLINEとかグループLINEとかにばらまいちゃったんだって。」

「それ、ヤバいの?」


 SNSをやったことない私からしたら危険性がどれだけあるのか分からない。


「まじでヤバいよ!不正アクセス禁止法に触れてんだよ!?罰金百万だよ!?」


 ………私は殺人罪か…。


「そうなんだ。大変だね。」

「そうだよ!警察とか来てね。皆、芋づる式にしょっ引かれちゃってね。」

「……そっか。だけど、ギスギスした雰囲気はないね。ただ違和感があるだけで。」

「しばらくバチバチのギスギスだったんだけどね。でも、英君がそれにキレちゃったんだって。」

「英が?」


 英がキレているところなんて見たことない。

 だって、英はニコニコしていていつも楽しそうで、たまに泣き虫で…。

 それで、皆に愛されている。

 喜怒哀楽の“怒”なんてないかと思っていた。

 今はテスト期間だから部活はない。

 今度聞いてみようと思っていた。

 今度でいい、って。

 だけど、英はテスト期間が明けても部活に来ることはなかった。