最強女子にも帰る場所がある~Choice your back home~

 文化祭の準備期間でたくさんの材料を買ったりする。

 この日は学校帰りに蘭と買い出し中。

 絵具などの大道具で必要なものは買いそろえたが、


「なぁ、なかなか王子系のコスプレとかないじゃん。諦めようぜ。」

「う~ん、服の他に王冠でしょ、剣でしょ、紫衣でしょ。」

「そんな本格的じゃなくていいんだよ。」

「そうなの?」


 なかなか王子系の服が見つからない。


「じゃあ、私が作っていい?」

「は?」


 ないなら作ってしまえばいい。

 これはボスからの教訓だった。

 私をずる賢いなんて言いながらも、私に知恵と工夫を与えたのはボスだ。

 こうして、王子役の衣装を作りながら蘭の演技指導を演劇部とすることになった。


「蘭、このセリフ棒読みすぎるよ。」


 蘭はセリフを覚えるのは早かったが、演技は下手だった。

 セリフが棒読みだったり、愛を囁くようなシーンでは恥ずかしがっていることが度々あった。

 特に、姫役の女の子のときと私が相手のときとは違うのだ。

 チクチクと布に針を通して衣装を作る。


「私のときはなんか、心が籠っていたというか…。」

「………。」


 蘭が私の裁縫している手を握る。

 その表情は前髪で見えない。


「蘭、針持っているから怪我する。危ないよ。」

「……気づけよ。」

「え?」


 何回も演技中のシーンで見たあの熱の籠った瞳で私を射抜く。


「いい加減気づけよ。俺がどれだけ、美夜のこと好きだと思っているんだよ。」


 蘭は溢れ出したものが止まらないとでも言うように、私の肩に頭を押し付けてきた。


「ちょ…。」

「うるせ。」


 言葉が乱暴でも、震えている声音から切なさを感じた。


「なぁ、俺だけ見てろよ。霞先輩のように頼りないし、白河より落ち着いてないし、獅子原より愛嬌とかないかもだけど…。誰よりも大切にするから…。」

「……見てるよ?だって、蘭はクラスメートだし。あの三人より一緒にいる時間が多いよ?」

「そういうことじゃねぇよ!」


 蘭はイライラしているかのように髪をかきあげると、


「恋愛とかそういう意味で好きなんだよ!」


 レンアイ?

 それって、白雪姫とかと同じジャンルでしょ?

 この言葉が言えるってことは…。


「蘭、本番もそんな感じで白雪姫に熱い想いを言えばいいと思う。」


 我ながらいいアドバイスだと思っているのだが、蘭は傷ついたような表情を浮かべて、


「あぁ、そうかよ。もういい。」


 そう言って鞄を持って教室から出て行った。

 その日から私は蘭に徹底的に避けられてしまうのだった。

 周りからは、


「ねぇ、いいの。なんかあったの?」

「蘭が蘭じゃなくなっているんだけど。」

「あれは、月下さんに告ったものの振られたパターンかな。」

「どうなの、月下さん?」

「分からない。ただ、好きって言われたから本番もそんな感じですればいいと思うよって言ったら怒って帰った。」

「「「「絶対それじゃん!!!」」」」