最強女子にも帰る場所がある~Choice your back home~

 皆が寝ている隙に寝袋を抜け出し、熊がいた場所に行く。

 すると、さっき見たのと同じ場所で眠っている。


「やっぱり、あそこが穴場か…。」


 そっと近づき英のリュックを取り出そうとすると、ちょうどそのタイミングで熊が起きた。


「おはよ。」


 そう言ってみたものの、当然のこと熊は言葉が通じない。

 その直後、地響きが起きるぐらいの咆哮。


「うるさい。」


 木の棒で熊をペンペン叩く。

 通常の熊ならここでばたんと倒れて気絶である。

 しかし、この熊は思いのほか頑丈で、ペンペン叩いた私を怒り狂ったかのように追い掛け回す。

 咆哮が山中に響く。

 逃げ回っている最中、熊がいきなり方向転換した。

 なんでかと思って振り返れば雪斗君がいた。


「雪斗君、上に逃げて!」


 そう言えば上に逃げていく雪斗君。

 私はというと先回りして木と蔦を使って先回りする。

 別に殺す必要はない。

 ただ、次人に遭遇したとき襲わないように、熊に人間は怖いものだと教えるだけ。

 ちょうど、間隔の距離もいい感じになってきた。


「わぁぁぁ!」


 手を広げて大きな声を出して、下にいる熊に向かって飛ぶ。

 作戦は成功したみたいで熊は驚いて逃げる。


「……戻ろうか、雪斗君。」


 英の鞄を拾って、後ろにいる雪斗君を振り向く。

 雪斗君は、まるで“知ってしまった”かのような顔をしていた。


「あぁ、ありがとう美夜。助かった。」


 しかし、その顔はすぐに王子様のスマイルに隠れる。


「うん、どういたしまして。」