最強女子にも帰る場所がある~Choice your back home~

 やっと教室にたどり着き、席に座る。


「お!美夜!なんの用事だったんだよ。…というか、入部届けじゃん。」


 机の上に置いてあった入部届を、蘭によって奪われる。


「うん。全員、部活に入らなきゃいけないらしい。だけど、私はまだ出してなかったから。」

「じゃぁ、サッカー部入れよ!」

「霞先輩にも同じこと言われた。」

「は?」

「あ…。」


 蘭の前で霞先輩の名前を出しちゃダメだった。

 うっかり口を滑らせてしまった。

 それを聞いていたらしい、クラスメート達がさっきまでの騒がしさが嘘だったかのように静まり返り、気にしないフリをしてこちらの様子を伺っている。


「霞先輩のほうが先に誘っていたのかよ…。」

「いや、成り行きで…。」

「そんなのどうだっていい。」


 血が滲みそうなぐらい唇を嚙んでこちらを睨んでいる蘭。


「蘭はどうだってよさそうな顔してないから説明しようとしているだけだけど?」

「「それ今言っちゃあかんやつや!!」」


 クラスメートが一気に振り返る。


「分かんねぇのかよ!」

「何を?」

「お、俺は…。」


 そんななか、


「お邪魔しまーす。」


 という声がした。


「きゃー!英くんだ!」

「可愛い!」


 途端に教室が騒がしくなって、ぴりついた雰囲気が少し和む。


「あはは、ごめんね~。先輩たち、ちょっと通してくださいね~。」


 ヒョコッと効果音が付きそうにあざとい仕草で女子の輪から抜け出し、こちらにやってくる人。

 あれどこかで…。


「久しぶりだね!美夜ちゃん!」


 その笑顔に記憶がフラッシュバックする。


「英。」

「うん!覚えててくれて嬉しい。」

「そっちこそ、よく私だって分かったね。」

「当たり前だよ。だって、僕達は幼馴染じゃん。」


 その声にクラスにいる女子も廊下にいる女子も


「「「えぇぇぇぇぇぇぇっっ!?」」」


 耳を殺してしまうぐらいの威力で叫ぶ。


「あはは、皆驚いちゃっているね。あれ、その紙って入部届?」

「うん。全員が部活に入部する決まりがあったの知らなくて…。」

「そっか。じゃあ、僕と一緒に美術部入ろうよ!」

「え?」

「あ、もう書いといたから顧問の先生に提出しとくね~。」

「「手品かよ!」」


 蘭と私の息が珍しくピッタリになってツッコミをいれるも、昔と変わらぬ笑顔で颯爽と去って行く英。


「ご、強引すぎる…。」


 昔はこんなんじゃなかったような。

 そう呟く私のよそで、


「な、なぁ。もしかしてもしかしなくても…。」

「あぁ。俺ら修羅場を見たよな…。」

「ほう、面白くなってきたわね。」

「普通の昼ドラより続きが気になる…。」


 と、クラスメートが囁く。

 その一方で、


「もう、離れ離れは嫌だから…。」


 人気のない廊下で入部届の紙を見て呟く英がいた。