最強女子にも帰る場所がある~Choice your back home~

 そして、体育の時間。

 テニスで他クラスと合同授業だった。


「きゃぁ!」

「雪斗君だぁ!」

「かっこいい!」


 最近よく一緒に話すクラスの女の子達が目をハートにして、黄色い歓声をあげている。

 その子達が球技大会の練習にて蘭と霞先輩のことを教えてくれたのだが…。

 どういうわけだか、「面白そうだから、一緒にいてあげる。」という理由で仲良くさせてもらっている。

 名前は、幸子と咲奈という。


「雪斗君?」

「美夜、知らないの?」

「この学校でリアルテニスの王子様を!?」

「うん、全く。」


 キョトンとする私に二人は呆れたような表情を浮かべながらも教えてくれた。


「嘘でしょ!?ゴホン、説明しよう。白河雪斗という男を…。テニス部に所属していて、運動神経が抜群。なんなら、この無名中学校のテニス部をたった一人で全国に轟かせた人物…。」

「それだけじゃなくて!品行方正、優しい、顔が良い、そして成績優秀という完璧人間なのよ。」

「完璧人間…。つまり、普通のプロということ?」

「「なんでやねん!」」


 つまり、普通になるためには彼をお手本にするのがいいのだろう。

 授業中、ずっと彼の動きを追ってみてみる。

 やはり全国レベルだからなのか、他の人達とは違うような気がする。

 そして時間は過ぎ去り、打ち合いの時間になった。


「え、美夜…雪斗君とじゃん…。」


 幸子の言葉に目の前を見れば、ニコッと笑顔を浮かべながら立っている雪斗君がいた。


「はうっ!」


 目をハートにさせ鼻血をだす幸子。


「ちょ、美夜。私、保健室行ってくる。」

「行ってらっしゃい。一人で大丈夫?」

「だ、大丈夫よ…。むしろ、あんたは雪斗君とテニスを楽しんで。」

「分かった。」


 そして、打ち合いが始まったわけだが、


「は?月下さん、テニスしたことないって言ってなかった?」

「本人曰くテニスアレルギーだとか…。」

「嘘だろ!?」

「じゃ、なんで…。全国レベルの雪斗とラリーあんなに続くんだよ!?しかも、スマッシュもちゃんと取ってるし。」

「体力テストと言い、球技大会と言い、いろいろおかしいだろ!?」


 ボールの軌道予測をちゃんとしていたら普通に打ち返せるのに。

 なんで、皆驚いているんだろ?

 かれこれ、十分ほど打ち合いをしていて体育の先生が啞然としていて止めもしない。

 そんなとき、


「月下さんだっけ。やるね。」

「ありがとうございます。」


 どういうわけだか、雪斗君に話しかけられた。

 私もだけど、彼はこんなに長時間打ち合いをしているのに汗一つ流さず笑顔でいる。

 なるほど、これが完璧な普通か。


「普通だったら俺に張り合えるような子いないのに…。」


 普通は彼とは張り合えないのか…。

 それなら、


「は?」

「ラケット、置いた?」

「なんでやめたのかな?」

「普通は雪斗君とは張り合えないみたいだから。」

「「「なぜそうなる!?」」」


 テニスコートに二つのクラス分の人数が響いた。


「……変わった子だな。」