静かなる、恋の包囲網

その後の検査でも異常は見つからず過労により倒れたとの結論になった塔子は、翌日の朝には退院しマンションに帰った。
しかし、入れ違いでアメリカ出張に出発する雄平は、最後まで塔子のことを心配をしていた。

「絶対に無理をするんじゃないぞ」
「ええ、わかっていますから」

病院の先生からも無理をしない程度に仕事に出ても良いと許可をもらったため、仕事に戻るつもりでいるが、雄平はそのことが気に入らないようだ。

「朝と夜には必ず連絡をくれ」
「はい」
「残業はしないように、辻本にも言っておくから」
「もう、わかっていますから」

心配してもらうことが嬉しくないわけではないが、病院から帰ってきてからの雄平は少し過保護だ。
それでも、あと数時間したら日本を離れてしまう雄平を、塔子は「気をつけていってらっしゃい」と笑顔で送り出した。