静かなる、恋の包囲網

「俺にできることがあれば、手助けしたいと思うんだ」

優しく諭すような口調に、塔子の胸にも熱いものが込み上げる。
間違いないのは、今父が借金を抱え苦労しているということ。
もちろん警察に追われていることも踏まえた上で、雄平は手助けがしたいと言ってくれる。

「少し、考える時間をください」

心のどこかで父と対峙するのが怖いと感じているし、雄平に迷惑をかけてはいけないという思いもある。
いろいろなことがいっぺんに起きた1日に、塔子は疲れ果てていて即答することができなかった。

「急ぐ必要はないから、考えてみてくれ」
「はい」

今までの自分はいつも誰かを心配する側で、誰かに守られたり心配されてきた記憶はない。
そんな自分を包み込み、甘えさせてくれる雄平に感謝しつつ、塔子は幸せを噛みしめていた。