静かなる、恋の包囲網

塔子の見つめる雄平の瞳に、塔子自身が映っている。
そして、瞳の中の塔子が少しずつ大きくなっていく。
瞬きをすることさえ忘れて見入っていると、塔子の唇に雄平の体温が重なった。

――んっ。

驚きと動揺、そして溶けてしまいそうな幸福感が塔子を包み込む。
唇の隙間から雄平の温もりが流れ込んできた。
優しくて、それでいて力強い動きが塔子を翻弄していく。

「あっ……」

息をつこうとした瞬間にこぼれた塔子の声を聞いて、雄平がかすかに笑った。
愛する人のそばにいたいと願う気持ちは、本能なのかもしれない。
お互いの息遣いを感じながら、2人は自らの気持ちを再認識した。