静かなる、恋の包囲網

「どうぞ」

リビングのソファーに腰を下ろし息を整える雄平に、塔子が水を差し出す。

「ありがとう」
「いえ、私のせいで無理させて、すみません」

自分でも悩み苦しんだ結果だったにせよ、雄平に心配をかけ、大切な仕事をキャンセルさせてしまったことに間違いはない。

―――私が連絡を絶ったりしなければ、雄平さんがアメリカから帰ってくることもなかったんだわ。

塔子は罪の意識にさいなまれながら、額に汗をかいた雄平の顔を覗き込む。
その時、不意に雄平が口を開いた。