静かなる、恋の包囲網

「大丈夫ですか?」

玄関で動かなくなってしまった雄平の背中に、塔子はそっと手を回した。

「すまない、少し疲れが出たようだ」

言われてみれば、アメリカからトンボ返りしてきた雄平はずっと飛行機の中にいたわけで、疲労が溜まっていても当然だ。
そしてその原因が自分にあるのだと思うと、塔子は申し訳ない気持ちになった。

「ゆっくりで良いですから、リビングに行きましょう」

雄平の体を支える塔子と共に、ゆっくりと廊下を進む。
伝わってくるぬくもりが、なぜか塔子の緊張も解いていった。
同じマンションに暮らし時間を共有することで、二人の距離は確実に近くなった。
そして、いつも守られる側でしかなかった自分が今は雄平を支えていることが、塔子は嬉しかった。