静かなる、恋の包囲網

塔子は杏のマンションで一晩を過ごすこととなった。
とても快適ではあるものの、いつもとは違う空間になかなか寝付けず、色々と考えを巡らせていた。

―――さぁ、これからどうしよう。

正解などないと思いながらも、塔子は悶々と最適解を探す。
実は夜遅くに、秘書課長である辻本から電話があった。
塔子の個人的な写真を社員サイトへ投稿した犯人については現在調査中で、進展は何もないとのいかにも事務的な状況説明だった。
なぜ取引先の角田本部長と塔子が親しげに写っているのかや、どこで撮られた写真なのかを聞かれることもなかった。
それは単に辻本が塔子に興味がないのか、塔子が情報漏洩の犯人だと確信しているのか理由はわからないが、辻本の言葉はいつもと変わらず事務的で冷たかった。