今でこそ人前で涙することなんてない塔子だが、小さい頃は本当に泣き虫だった。
大人しくて口数の少ない塔子は友達が少なくて、よく泣きながら家に帰り母の前で泣いていた。
母は何も聞かずに抱きしめて、背中をトントンと撫でてくれた。
その温かさにいつも慰められた。
そんな引っ込み思案な塔子を気遣い、両親は休みのたびに外へ連れ出してくれた。
遊園地や公園や美術館へ、事あるごとに親子4人で出かけた。
父が会社を営んでいたせいもあって、幼少期は比較的裕福な家だったと思う。
誕生日やクリスマスにはプレゼントを買ってもらい、月に数回は外食にも行き、年に一度は家族旅行にも連れて行ってもらった。
―――思えばあの頃が一番幸せだったのかもしれない。
涙が溢れそうになったことで、塔子はまだ幼かった子供の頃の記憶がよみがえってしまった。
そんな幸せだった塔子の人生の転機は、小学3年生の頃。
それまで順調だった父の経営する会社が経営不振となり、あっという間に倒産したのだ。
父は職を失い、専業主婦だった母も働きに出たが、生活は苦しいままで、一家は路頭に迷うことになった。
そうしているうちに父はお酒に逃げるようになっていった。
もともと優しくて塔子や弟の海斗と遊んでくれるいい父だったのに、お酒に酔っては暴れて母に暴力を振るうようになった。
そしてある夜、いつものように酔っ払った父は母に暴力をふるい、かばおうとした塔子を突き飛ばした。
運悪く、突き飛ばされ階段を転がり落ちた塔子は、全身が傷だらけになった。
―――お父さんがいなければ…
この時、塔子は初めて父を憎いと感じ、無意識のうちに台所からナイフを持ち出した。
そして・・・
大人しくて口数の少ない塔子は友達が少なくて、よく泣きながら家に帰り母の前で泣いていた。
母は何も聞かずに抱きしめて、背中をトントンと撫でてくれた。
その温かさにいつも慰められた。
そんな引っ込み思案な塔子を気遣い、両親は休みのたびに外へ連れ出してくれた。
遊園地や公園や美術館へ、事あるごとに親子4人で出かけた。
父が会社を営んでいたせいもあって、幼少期は比較的裕福な家だったと思う。
誕生日やクリスマスにはプレゼントを買ってもらい、月に数回は外食にも行き、年に一度は家族旅行にも連れて行ってもらった。
―――思えばあの頃が一番幸せだったのかもしれない。
涙が溢れそうになったことで、塔子はまだ幼かった子供の頃の記憶がよみがえってしまった。
そんな幸せだった塔子の人生の転機は、小学3年生の頃。
それまで順調だった父の経営する会社が経営不振となり、あっという間に倒産したのだ。
父は職を失い、専業主婦だった母も働きに出たが、生活は苦しいままで、一家は路頭に迷うことになった。
そうしているうちに父はお酒に逃げるようになっていった。
もともと優しくて塔子や弟の海斗と遊んでくれるいい父だったのに、お酒に酔っては暴れて母に暴力を振るうようになった。
そしてある夜、いつものように酔っ払った父は母に暴力をふるい、かばおうとした塔子を突き飛ばした。
運悪く、突き飛ばされ階段を転がり落ちた塔子は、全身が傷だらけになった。
―――お父さんがいなければ…
この時、塔子は初めて父を憎いと感じ、無意識のうちに台所からナイフを持ち出した。
そして・・・



