雪だるまにはさすがになんなかったけど頭や肩に雪を乗せながら何とかここまで歩いて来てなんやかんやあってようやくパティスリーHANONに辿り着いた。ここまで来るのは随分大変だった。
「えーっと…オペラだっけ?オペラって…オペラだよな?」
※滅多にスイーツを食べない桐ヶ谷はオペラが何だかよく分かっていない。
「まぁ店員に聞けば良いか…寒いからとにかく店に入ろ」
身体についた雪を手でパッパッとはらってカランカラ〜ン♪ とベルを鳴らしてケーキ屋に入ると「いらっしゃいませ〜」と化粧で何とかまぁまぁ人前に出れる顔を作ったエプロン姿の頑張り屋の女共が俺を出迎えた。
※桐ヶ谷の本性は性格だけじゃなく口も大変悪い。
「(きゃっ、やだ!超イケメン来た〜!!最近うちの店にやって来る男って言ったらそこら辺のもっさい親父か勘違いナルシストだけだったからガチのイケメンが来ると超上がるんですけど〜!!)お客様、今日は何をお買いになられに?♡」
「(なぁにが『ごめんなさい、子供のお遊戯会があるからシフトチェンジして〜』よ?とか最初思ってたけどあの店長糞ババァと嫌々シフト交換しといて良かったわ!)今月のおススメはこちらの苺のタルトになります〜!♡」
「(寝坊して歯を磨き忘れたけど化粧だけはしといて良かった!ってか今日の客絵本から出て来たみたいなマジの王子じゃん!えー、彼女居んのかな?つうか先輩達そこ退けろ!邪魔なんだよ、ババァ!!)お客様ぁ、クッキーも焼きたてなので良かったらご試食どうぞ〜!♡」
※店員達も笑顔の下で性格が悪かった。
「あっ、良いんですか?では1ついただきます。……うん、わぁ、とっても美味しいです!」
う"…バター臭いな。こんなの食ってたらあっちゅう間にデブになるわ。つうかこの店の女共やかましいな。俺がイケメンだからって寄ってくるんじゃないよ。



