氷の法医学者と、秘密の共犯になりました

沢渡先生は屋上の扉へ向かいかけて、足を止めた。

そして、私を見た。

「今井。行くぞ」

「はい、先生」

先生は扉に手をかけたまま、少しだけ間を置いた。

「それと」

「はい?」

「怪我をするな。俺が困る」

胸が甘く痛んだ。

私はわざと、少しだけ首を傾げる。

「それ、相棒としてですか?」

沢渡先生は沈黙した。

ほんの数秒。

けれど今度は、逃げなかった。

「……恋人としてだ」

その不器用な言葉が、雨上がりの屋上に静かに落ちた。

私は笑ってしまった。

泣きそうなくらい、幸せだった。

氷の法医学者の秘密を、私はこれからも守っていく。

弱みとしてではなく、恋として。

彼の隣で、秘密の共犯として。