野一期(のいちご)小学校、登山部部長として僕は部員4人を連れて登山中、大雪に見舞われ遭難(そうなん)しかけた。

「部長、こわいよ〜」

「手足の感覚がなくなってきた」

「雪で前がみえない!」

「私たち死んじゃうの?」

「大丈夫! あそこに山小屋がある! あそこなら雪がしのげるぞ」

運良く山小屋を見つけてひとごこちつく。
登山部で体力があるとはいえ、僕たちは皆まだ子供だ。遭難でもしてたら大変な事になる。
内申点にもきっと響く、中学受験だって危ないかもしれない。

「わーっ。危なかった!」

「本当、小屋がみつかってラッキーだったわね」

「それにしても寒いね」

「暖炉に木が残ってる! 使えるかな」

「このマッチを使え」

ボッ……!! パチパチ。

火のはぜる音が心地よい。

「これで暫くは何とかなりそうだな、明日の朝まで火を持たせる為にもっと木を焚べないとな」

「えっ。この木じゃたりないの?」

「一晩しのぐには(マキ)だ。(マキ)を焚べ続ける必要がある、僕は外の小屋に予備がないか見てくる」

幸い山小屋の裏の納屋に薪は充分あった。
──良かった。これで何とか責任問題は回避されそうだ。
これで明日皆んなで山を降りれるぞ。



納屋からもどると、暖炉から肉の焼ける匂いが立ち込めていた。

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【解説】
野一期小学校の登山部のメンバーにマキちゃんという子が居たようです。

「一晩しのぐには(マキ)を焚べ続ける必要がある」この言葉を間に受けた子供たちは自分たちが助かる為にマキちゃんを犠牲にしたようです。

部長の「僕」は責任問題からは逃れられそうもありませんね。