「いや違う! ごめんっ、そうじゃなくてあの、軽装に着替えたらと思って……」
顔を真っ赤にして、アレクシスはわたわたと明後日の方向を指差した。ガーデンテーブルに、動きやすそうな衣服が置いてある。
「はひ! いえ、あの、こちらこそごめんなさい!」
そういえば、さっき動きやすい服を用意してもらっていた!
ただでさえドレスを着慣れないのに、正装は体に負担だろうと気遣ってくれただけだった。あまりに恥ずかしい勘違いに、お互い冷や汗を流しながらあたふたする。
「ええとその、着替えて、あの森で剣でも振り回さないか? と言おうと思っただけで……」
「えっ、ええ! いいですね! 行きましょう!」
ほとんどパニック状態になりながら、私たちは互いに隠れてコソコソと軽装に着替えた。
逃げ出すように城を抜け出し、馬車を呼ぶのももどかしく、馬にそのままふたりで乗って外へ飛び出した。
手綱を握るアレクシスの太い腰にしっかりしがみつき、背中に頬をぴったりと押し当てる。
「携帯食は持ったよな?」
「ええ!」
手近にあった布を使ってこしらえた即席のカバンには、食べ慣れた携帯食と水をたくさん詰め込んだ。
チーズとクラッカーと、干し肉をしこたま。ドライフルーツもあるし、ナッツもある。

