私は剣に身を捧げた女。王太子殿下の求愛は、お受け出来ません


「ああ……その世界に、お前を巻き込んでしまうんだな」
 
 煌びやかで誉れ高い一方で、窮屈で不自由でもある王侯貴族の世界。アレクシスはずっとそこで、ひとりで〝理想の王子〟を演じ続けてきた。
 
 アレクシスが、私の肩を抱き直す。守るような仕草にきゅんとしながらも、私は力強く言った。
 
「私はその孤独な世界ごと、あなたの隣を選びます。あなたをひとりぼっちで残すより、ずっと幸せだ」
 
 迷いない私の言葉に、アレクシスが静かに頷く。私を堅く抱きしめて、ただ一言こう言った。

「愛している、ヴィオラ。これまでも、これからも」
 
 私をすっぽりと包む体の温もりを、受け止めるように抱き締め返す。それ以上の言葉は、要らなかった。
 
 ●デートの誘い[#「●デートの誘い」は中見出し]

 
「さて、と」
 
 アレクシスが私の額に唇を寄せた。待ち構えていると、ちゅっと音を立てて可愛らしいキスが施される。
 
 キスを交わすのは、まだ少し恥ずかしい。これまでは徹底的に避けていた、男と女になることを許されている実感が湧いてくる。
 
 頬を染めている私に、アレクシスは優しく言った。
 
「じゃあ……ドレス姿は本当に綺麗だけど、動きづらいだろう。脱げよ」
 
 カチンと、思考が停止した。
 
 ぬ、脱げよ……? ここで?
 
 なんて大胆な、というか、破廉恥な!
 
「帰らせてもらいます……」
 
 せめて部屋に帰らせてもらってから……と、モジモジしながら言うと、アレクシスはギョッとしたように飛び上がった。