「いや、どうしてって言われても……」
成瀬さんは困ったように視線を彷徨わせる。そして、ポツリと呟いた。
「逆に怪しいだろ? 俺、君が好きな影山蓮と知り合いなんだ、とか言ったらさ」
「……確かに」
成瀬さんの言葉に、私は思わず納得してしまった。
普通は、推しと簡単に繋がれない。そんなことくらい、この歳になればちゃんと分かっている。世の中はそんなに甘くない。
私が神妙な顔で頷くと、成瀬さんは吹き出した。
「まぁでも、俺は本当に、君が好きな影山蓮と知り合いなんだけどね」
冗談めかした口調で成瀬さんが言うので、私もつい軽口で返す。
「ZERO TO HEROの頃からの付き合いですもんね」
すると、成瀬さんは少し驚いたような顔をしてから、「あちゃー」と言いたげに額に手を当てた。そして少し困ったように笑う。
「あの映画のこともバレてるんだ?」
成瀬さんの苦笑いで、ほろ酔い気分がスッと醒めた。
やばい! 調子に乗った。
いくら蓮という接点があるとは言え、そんなことまで知っているなんてと、気持ち悪がられたかもしれない。
私は慌てて成瀬さんに頭を下げた。
「ご、ごめんなさい。知られたくなかったですか?」
恐る恐る顔を上げると、成瀬さんと目が合う。
成瀬さんは怒り出すどころか、さらに困ったような顔で頭を掻いていた。
「いや……、人に見られることを仕事にしてるわけだからね。別に知られて困るようなことではないよ。だけど、なんか、恥ずかしいというか……」
成瀬さんはそこで言葉を切って、私をじっと見つめる。
その眼差しがあまりにも真っ直ぐで、まるで心の中まで覗き込まれそうだ。
成瀬さんの瞳に吸い込まれそう。
私は視線を逸らすことさえ忘れて、成瀬さんを見つめ返す。
二人の間を満たすのは沈黙。それ以外には何もない。ただ静かに時が流れていく。
その沈黙を終わらせたのは成瀬さんの方だった。
突然プッと吹き出したかと思うと、そのままケラケラと笑い出す。
何がそんなに面白いのかわからず、私は思わずきょとんとしてしまった。
「……あぁ、やっべ」
成瀬さんは小さくそう言ったあと、手にしていた缶ビールを一気に煽った。
そして、缶から口を離すと、ふぅと大きく息を吐き出した。
何事だろうかと呆然としていると、成瀬さんが再び私の顔を見た。そして、今度は少し照れ臭そうに笑う。
「下手だったでしょ? 俺」
言葉の意味が分からず、私は返事に窮する。
しかしすぐに、あの映画のことだと思い至った。
成瀬さんは困ったように視線を彷徨わせる。そして、ポツリと呟いた。
「逆に怪しいだろ? 俺、君が好きな影山蓮と知り合いなんだ、とか言ったらさ」
「……確かに」
成瀬さんの言葉に、私は思わず納得してしまった。
普通は、推しと簡単に繋がれない。そんなことくらい、この歳になればちゃんと分かっている。世の中はそんなに甘くない。
私が神妙な顔で頷くと、成瀬さんは吹き出した。
「まぁでも、俺は本当に、君が好きな影山蓮と知り合いなんだけどね」
冗談めかした口調で成瀬さんが言うので、私もつい軽口で返す。
「ZERO TO HEROの頃からの付き合いですもんね」
すると、成瀬さんは少し驚いたような顔をしてから、「あちゃー」と言いたげに額に手を当てた。そして少し困ったように笑う。
「あの映画のこともバレてるんだ?」
成瀬さんの苦笑いで、ほろ酔い気分がスッと醒めた。
やばい! 調子に乗った。
いくら蓮という接点があるとは言え、そんなことまで知っているなんてと、気持ち悪がられたかもしれない。
私は慌てて成瀬さんに頭を下げた。
「ご、ごめんなさい。知られたくなかったですか?」
恐る恐る顔を上げると、成瀬さんと目が合う。
成瀬さんは怒り出すどころか、さらに困ったような顔で頭を掻いていた。
「いや……、人に見られることを仕事にしてるわけだからね。別に知られて困るようなことではないよ。だけど、なんか、恥ずかしいというか……」
成瀬さんはそこで言葉を切って、私をじっと見つめる。
その眼差しがあまりにも真っ直ぐで、まるで心の中まで覗き込まれそうだ。
成瀬さんの瞳に吸い込まれそう。
私は視線を逸らすことさえ忘れて、成瀬さんを見つめ返す。
二人の間を満たすのは沈黙。それ以外には何もない。ただ静かに時が流れていく。
その沈黙を終わらせたのは成瀬さんの方だった。
突然プッと吹き出したかと思うと、そのままケラケラと笑い出す。
何がそんなに面白いのかわからず、私は思わずきょとんとしてしまった。
「……あぁ、やっべ」
成瀬さんは小さくそう言ったあと、手にしていた缶ビールを一気に煽った。
そして、缶から口を離すと、ふぅと大きく息を吐き出した。
何事だろうかと呆然としていると、成瀬さんが再び私の顔を見た。そして、今度は少し照れ臭そうに笑う。
「下手だったでしょ? 俺」
言葉の意味が分からず、私は返事に窮する。
しかしすぐに、あの映画のことだと思い至った。

