さすがは、料理が特技とプロフィールに書いているだけのことはある。
日曜の朝に目玉焼きとサラダを作って満足している私とは大違いだ。
「それでもすごいです。美味しかったです」
尊敬の念を込めてそう言うと、彼は照れたように鼻の頭を掻いた。
「いや……そんなたいしたことないよ。でも、ありがとう。なんか、すげぇ嬉しい。……あ、そうだ。せっかくだから、もう少し何か作ろうか?」
「え? ああ、そっか。私が成瀬さんの分、食べちゃいましたもんね。足りないですよね。ごめんなさい」
しゅんと項垂れれば、成瀬さんは「そうじゃない」と慌てて首を横に振った。
「石川さんの飲んでる物に合わせて何か作るってこと。と言っても簡単なものだけど。で、それ何飲んでるの?」
成瀬さんが指差したのは、私の手の中のコップ。
「あ、これですか? これはただの麦茶です」
私がそう言うと、成瀬さんは思いっきり目を丸くした。それからクククと笑い出す。
「麦茶? 麦茶飲んでるの? ……宅飲みしますとか言ってたのに?」
「だって、冷蔵庫にお酒がなかったんですもん。でも、麦茶も美味しいんですよ? 夏はミネラルを含んだ麦茶を飲んだ方がいいって聞きますし」
言い訳をする私を見て、成瀬さんは我慢できなくなったのかケラケラと笑う。
私は唇を尖らせた。
「もう、笑いすぎです!」
「いや、ごめん。だって、かわいいなと思って……麦茶って……」
目尻に涙を浮かべて笑い続ける成瀬さん。私はますます頬を膨らませる。
「そんなに笑わなくてもいいじゃないですか!」
「ごめんごめん。お詫びに何か作ってくるよ。ちょっと待ってて」
笑いすぎて滲んだ涙を指先で拭いながら、成瀬さんは部屋の中へと戻っていった。
一人取り残された私は、まだプリプリとしながら残りの麦茶を飲み干す。
麦茶だって美味しいのに。
そんなことを思いながら、先ほどの会話を反芻する。
あれ? 成瀬さんって、あんなに砕けた話し方をする人だっけ?
別にそれが嫌だというわけではないけれど、いつもはもっと丁寧な言葉遣いをしていたはず。
……なんだか距離が縮まったようで嬉しい。
いつの間にやら私の口元はニンマリと緩んでいた。
成瀬さんって笑い上戸なのかな。
麦茶であんなに笑うなんて。
目に涙を浮かべて笑う成瀬さんを思い出していた私は、彼の発した言葉を思い出して途端に固まった。
ちょっと待って。さっき「かわいい」って言った?
日曜の朝に目玉焼きとサラダを作って満足している私とは大違いだ。
「それでもすごいです。美味しかったです」
尊敬の念を込めてそう言うと、彼は照れたように鼻の頭を掻いた。
「いや……そんなたいしたことないよ。でも、ありがとう。なんか、すげぇ嬉しい。……あ、そうだ。せっかくだから、もう少し何か作ろうか?」
「え? ああ、そっか。私が成瀬さんの分、食べちゃいましたもんね。足りないですよね。ごめんなさい」
しゅんと項垂れれば、成瀬さんは「そうじゃない」と慌てて首を横に振った。
「石川さんの飲んでる物に合わせて何か作るってこと。と言っても簡単なものだけど。で、それ何飲んでるの?」
成瀬さんが指差したのは、私の手の中のコップ。
「あ、これですか? これはただの麦茶です」
私がそう言うと、成瀬さんは思いっきり目を丸くした。それからクククと笑い出す。
「麦茶? 麦茶飲んでるの? ……宅飲みしますとか言ってたのに?」
「だって、冷蔵庫にお酒がなかったんですもん。でも、麦茶も美味しいんですよ? 夏はミネラルを含んだ麦茶を飲んだ方がいいって聞きますし」
言い訳をする私を見て、成瀬さんは我慢できなくなったのかケラケラと笑う。
私は唇を尖らせた。
「もう、笑いすぎです!」
「いや、ごめん。だって、かわいいなと思って……麦茶って……」
目尻に涙を浮かべて笑い続ける成瀬さん。私はますます頬を膨らませる。
「そんなに笑わなくてもいいじゃないですか!」
「ごめんごめん。お詫びに何か作ってくるよ。ちょっと待ってて」
笑いすぎて滲んだ涙を指先で拭いながら、成瀬さんは部屋の中へと戻っていった。
一人取り残された私は、まだプリプリとしながら残りの麦茶を飲み干す。
麦茶だって美味しいのに。
そんなことを思いながら、先ほどの会話を反芻する。
あれ? 成瀬さんって、あんなに砕けた話し方をする人だっけ?
別にそれが嫌だというわけではないけれど、いつもはもっと丁寧な言葉遣いをしていたはず。
……なんだか距離が縮まったようで嬉しい。
いつの間にやら私の口元はニンマリと緩んでいた。
成瀬さんって笑い上戸なのかな。
麦茶であんなに笑うなんて。
目に涙を浮かべて笑う成瀬さんを思い出していた私は、彼の発した言葉を思い出して途端に固まった。
ちょっと待って。さっき「かわいい」って言った?

