推しと清く正しい逢瀬(デート)生活 ーこっそり、隣人推しちゃいますー

 その歓声が止まぬうちに、次の照明が右端のシルエットに当たる。
 優磨同様にダンスをしながら幕を払いのけ姿を現したのは、桐野涼。
 そして、中央2つのシルエットに赤と暗めの紫のライトが当てられる。
 会場のスコッコたちのボルテージが一気に最高潮に達した。
 影山連と藤崎樹の登場。
 画面の中では彼らのメンバーカラーを灯したたくさんのペンライトが揺れている。
 私もそれに合わせて画面の前でペンライトを振る。
 四人がステージ上に揃い、一曲目が始まった。
 アップテンポでノリの良い曲調が会場の熱気をさらに上昇させる。
 メンバーは、スッキリとした黒のスリムスーツに身を包んでいる。シックな衣装をさらりと着こなしているだけでも素敵なのに、彼らはそれぞれに色気や愛嬌を纏って、より自身を魅力的に見せている。
 そして、今回の目玉の1つ。彼らの首元で光るシルバーのネックレス。メンバーがデザインしたコンサートグッズだ。
 推しとお揃いのアクセサリーが着けられるという触れ込みだった。少々値が張ったが、もちろん買った。
 私の首元でネックレスが揺れる。
 蓮の首元にもメンバーカラーの宝石を嵌め込んだネックレス。
 それは、蓮がファンサをする度にキラキラと光を反射して輝いている。推しが画面にアップになるたびに、ネックレスも映る。そうして、推しとのお揃いを実感させるという演出なのだろう。
 ステージ上のメンバーの動き1つ1つに、会場のボルテージがどんどん上昇していくのが分かる。その熱量が画面越しでも伝わってきた。
 画面に時々映る蓮は、一曲目からたくさんの汗を流しながらも、気持ち良さそうに歌って踊っている。
 相変わらずかっこいい。
 スラリと伸びた長い脚。程よく筋肉の付いた身体。汗で濡れた髪。それから、少し掠れた声。
 そのどれもが私の胸を高鳴らせる。
 いつもなら、画面の中の蓮に見惚れているだけで、時間があっという間に過ぎていく。
 なのに、今日はどうしてもライブに集中できない。
 私は、首元のネックレスを握りしめた。
 一曲目が終了し、次の曲が始まる。
 二曲目、三曲目とアップテンポでノリの良い曲が続く。
 会場のボルテージをどんどん上げていく。
 そして四曲目。蓮のパートから始まるしっとりとしたバラード曲。彼の甘い歌声がスピーカーから流れだす。
 どこか上の空な私の鼓膜を優しく揺らす。
 まるで「俺をちゃんと見ろ」と訴えるような甘く切なげな歌声。
 画面越しでも蓮の視線の熱さが伝わってくる。