顔を上げると、成瀬さんが真っ直ぐこちらを見ていた。
「俺はスコッコじゃないです。でも、石川さんがScorpioの話をしたいなら、遠慮せず思う存分話していいんですよ」
「いえ……。私は、そんな……」
私は両手を顔の前で振って慌てて否定する。
だが、その手を成瀬さんがそっと掴んだ。
思わず息を飲む。
彼の目は真剣だった。
「スコッコって、Scorpioファンの呼び名ですよね? 俺の中では、石川さんがスコッコなのは確定です。なのに、なぜそんなに隠そうとするんですか? もしファンがそんな態度を取ってるって知ったら、メンバーは傷つきますよ。ファンであることって、隠さなきゃいけないことなんですか?」
成瀬さんの瞳に、一瞬寂しげな色が滲んだ気がした。
それからハッとしたように掴んでいた私の手を離し、慌てて頭を下げる。
「す、すみません。つい……。手、痛くなかったですか?」
あまりの慌てぶりに、私は思わず吹き出した。
彼は気まずそうに視線をさまよわせていたが、私の笑い声に釣られて照れ笑いを浮かべた。
私たちは自然と歩き出す。
「……あの、ごめんなさい。実は私、本当はけっこう強火の影山担です」
ボソッと告げると、成瀬さんはすぐに笑顔になった。
「強火って……あはは。そっか。えっと、なんて言うんだっけ? ああ、ガチ恋ってやつ?」
緊張で震える手を握りしめながら、私は答える。
「かなり本気で推してますけど、ガチ恋……ではないです。さすがにもういい歳なので、夢と現実の区別くらいは」
「いい歳って。アイドルに夢中になるのも、恋愛するのも、年齢なんて関係ないと思うけどな」
こんなに肯定されたのは初めてだった。
それが嬉しくて、でも反応が良すぎて、逆に戸惑ってしまう。成瀬さんの明るい声に、私は思わず苦笑した。
成瀬さんは少し首を傾げたが、それ以上は何も聞いてこなかった。
「さっき、成瀬さんに言われてハッとしました。推しの話になると、つい熱くなって、周りと温度差が出てしまって……。だから、これまでは気をつけていたんです。……でも、Scorpioのみんなは、隠さなきゃいけないような存在じゃないです!」
「俺はスコッコじゃないです。でも、石川さんがScorpioの話をしたいなら、遠慮せず思う存分話していいんですよ」
「いえ……。私は、そんな……」
私は両手を顔の前で振って慌てて否定する。
だが、その手を成瀬さんがそっと掴んだ。
思わず息を飲む。
彼の目は真剣だった。
「スコッコって、Scorpioファンの呼び名ですよね? 俺の中では、石川さんがスコッコなのは確定です。なのに、なぜそんなに隠そうとするんですか? もしファンがそんな態度を取ってるって知ったら、メンバーは傷つきますよ。ファンであることって、隠さなきゃいけないことなんですか?」
成瀬さんの瞳に、一瞬寂しげな色が滲んだ気がした。
それからハッとしたように掴んでいた私の手を離し、慌てて頭を下げる。
「す、すみません。つい……。手、痛くなかったですか?」
あまりの慌てぶりに、私は思わず吹き出した。
彼は気まずそうに視線をさまよわせていたが、私の笑い声に釣られて照れ笑いを浮かべた。
私たちは自然と歩き出す。
「……あの、ごめんなさい。実は私、本当はけっこう強火の影山担です」
ボソッと告げると、成瀬さんはすぐに笑顔になった。
「強火って……あはは。そっか。えっと、なんて言うんだっけ? ああ、ガチ恋ってやつ?」
緊張で震える手を握りしめながら、私は答える。
「かなり本気で推してますけど、ガチ恋……ではないです。さすがにもういい歳なので、夢と現実の区別くらいは」
「いい歳って。アイドルに夢中になるのも、恋愛するのも、年齢なんて関係ないと思うけどな」
こんなに肯定されたのは初めてだった。
それが嬉しくて、でも反応が良すぎて、逆に戸惑ってしまう。成瀬さんの明るい声に、私は思わず苦笑した。
成瀬さんは少し首を傾げたが、それ以上は何も聞いてこなかった。
「さっき、成瀬さんに言われてハッとしました。推しの話になると、つい熱くなって、周りと温度差が出てしまって……。だから、これまでは気をつけていたんです。……でも、Scorpioのみんなは、隠さなきゃいけないような存在じゃないです!」

