Before Dawn.



最近はほぼ溜まり場に居たからか、自分の家に帰るなんて久しぶりだった。



依織のお兄さんが不動産をやっていてそのツテで借りているマンションの1部屋。

帰らないせいであまりにも生活感がなく殺風景だった。
なんなら、空気も澱んでいる気がする。


雨で濡れた体を温めるようにシャワーを浴びた。

目を瞑ればあの日の光景が蘇る。
それが恐くてすぐに目を開けた。





全部、夢だったらいいのに。





あの日からの全部が夢で私の隣には相変わらずほわほわとした慎之介が居る。
いつものように依織と私は言い合いをして、呆れたように慎之介は仲裁してくれるのだ。


当たり前だったはずの日常が当たり前じゃなくなった恐怖に私はこの先もずっと怯えて生きていく事になるんだろうか。

そう思うと全身が震えた。




…恐い。




単純にそう思った。
そして妙に冷静な自分にも違和感を感じていた。