20%の恋、100%の私。

「20%しか好きじゃないから別れよう。」

 仕事の帰り道、彼が私の顔を見ずに冷たい風と共に耳にキーンと鳴り響く。

「そっか。。分かった。」

 私はそう答えるのに精一杯。
 
 部屋に入った瞬間、膝から崩れ落ちた。

「なんで。。」

 泣きながら、彼と撮った写真を見ながら走馬灯のように彼と過ごした日々を思い出す。
 もしかしたら、今電話して別れたくないって言ったらさっきの言葉なくなるかもしれない。。なんて、思いながら電話をかける。

「、、もしもし。」

 数コール後に彼の声が聞こえた。

「、、私、やっぱり別れたくない。」

 涙を我慢しながら震える声で彼に言う。

「いや、別れる。」

 淡々と答える彼の声から、その決断は変えることができないことがひしひしと伝わってきて。。

「半年だけだったけど、幸せだったよ。」

 涙を堪えようとしたけど、ダメで。。
 泣きながらそう答えて、電話を切った。

 電話を切ったあと、しばらく床に座ったまま動けなかった。
 部屋は静かで、時計の秒針の音だけがやけに大きく聞こえる。

 でも、不思議とさっきまで胸を締めつけていた痛みが、ほんの少しだけ形を変えていた。

「20%しか好きじゃない」

 その言葉を思い出すたび、苦しくなる。
 でも同時に、私は気づいてしまった。

 私は100%で人を好きになっていた。
 写真も、思い出も、涙も、その全部が本物だった。

 それだけは、誰にも否定できない。

 写真を一枚ずつ、ゆっくり消していく。
 指は震えていたけど、途中でやめなかった。

「半年だけだったけど、幸せだった」

 それは彼のための言葉じゃない。
 あの時間を大切にした自分自身への言葉だった。

 ベランダの窓を少し開けると、冷たい夜の風が頬を撫でた。
 涙の跡が、少しだけ乾く。

「……私は、ちゃんと人を愛せる」

 そう呟くと、胸の奥に小さな灯りがともった気がした。

 20%しか愛されなかったとしても、
 100%で愛した私の価値が下がるわけじゃない。

 明日になっても、きっとまだ泣く。
 思い出して、また苦しくなる日も来る。

 それでもいつか、
 この別れが「終わり」じゃなく
 もっと大切にされる未来への通過点だったと笑える日が来る。

 そう信じて、私はゆっくり立ち上がった。

 ——もう、後ろは振り返らない。
   だって、次はもっと素敵な恋をするから。
   100%の愛を与えてくれる人と。

 
 〜 完 〜