永遠に美しく

 どうしてこんな事になったんだろう……。
 俺は頭を抱えて木陰にうずくまる。
 悩んでも仕方がない。
 打開策がない今、とりあえず隠れるしかない……。

「見つけたか?」

「ダメだ、こっちには居ない」

「こっちもだ」

「犯人はこの辺に土地勘がある、くまなくさがすんだ」

「中学生の足だ、そう遠くはいけないだろう」

「そうだなこの山を重点的に探そう」

大勢の追っ手の声が聞こえる。

「まったく、こんな平和な街でバラバラ殺人事件がおこるだなんてな……」

「被害者の女の子はまだ首だけ見つかっていないんだろう? 可哀想に……」

「容疑者は同じ中学に通う男子なんだってな。世も末だな」

 ちっ。俺は舌打ちをする。それはこちらのセリフだ。
 どうして俺が犯人扱いされなきゃいけないんだよ……!!
 俺はいつだってアスミの言う事を聞いてご機嫌をとって尽くしてきたってのに……!!
 今回だってそうだ。

「おばさんになんかになりたくない。ずっと若く永遠(とわ)に美しく、綺麗なままでいたい」って言うから……!

 怒りで身体が震えたのか、足下の小枝がパキリと折れる。

「!──今なにか聞こえなかったか?」

 クソっ!
 俺は再び頭を抱えながら更に山奥へと突き進んだ──。




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【解説】
中学生によるバラバラ殺人事件。

逃げる「俺」こと被害者アスミの彼氏ですが、
「頭を抱える」とは文字通り、亡くなったアスミさんの「頭」を抱えながらの意味でした。

二人の間に何があったのか──?
アスミさんは自分の美貌に自信があるタイプのようでした。

「ずっと若くて綺麗なままでいたい」

その願いを叶えるには身体の時を止めるしか方法はありませんね。
生きているか死んでいるかは別として、彼は恋人の願いを叶えてあげただけのようで、罪の意識があまり無いのかもしれません。