待ち伏せされた悪役令嬢、幼馴染み騎士団長と初恋をやり直す。


 白い床石の上をコツコツと靴音をさせて、私は大広間に続く廊下を歩いていた。

 私は今夜、城で開かれる夜会へと行く。

 そして、そこで婚約者である第三王子レスター・ラルストンに、婚約破棄をされるのだ。

 こうして足取りを重く感じるのは、私がその事実を知っているから……悪役令嬢クラウディア・エズモンドとして転生している事実に気が付いたのが、ほんの数日前のこと。

 今夜に婚約破棄されてしまうことは、もう防ぎようもなかったのだ。

 私は乙女ゲームの世界の悪役令嬢で、その役割の通りに、ヒロインであるマリアに対し様々な嫌がらせしてきた。

 今更、そんな私が何を言えば良いのだろうか……中身が変わったので、それは私ではありません知りませんなどと言えるはずもなかった。

「クラウディア様……」

 背後から名前を呼びかけられて、私は振り向いた。

「まあ……オルランド……」

 そこに居たのは、王立騎士団長オルランド・フィンリー。フィンリー公爵家の次男で……レスターと婚約しなければ、私は彼と結婚していただろうと両親からも聞いていた。