色褪せて、着色して。Ⅵ~黒薔薇編~

 この国に来てから、本当に次々と色んな事が起こる。
 ハガネとナオミとの出会いは最悪だったけど。
 結果としては良い思い出なのだと思う。

 見覚えのある風景が見えてくると。
 私はベールを外した。
「マヒル様、失礼します」
 バニラが私の髪の毛に触れ。
 目の前を手のひらで左右に動かした。
「これで。元通りの姿ですわ」
「ほんと、妖精の力って便利だねえ」
 気づけば、茶髪に茶色い瞳に変身していたバニラも。
 元のピンクの髪の毛、赤い瞳に戻っていた。

 馬車が止まって。
 扉が開くと。
「あのう…知らない騎士が家の前にいるんですけど」
 遠慮がちにスズメが言ったので、「ええー、また呼び出し?」と表情を崩した。
 スズメの手を借りて。
 馬車から降りて。
 家の前を見ると。
 懐かしい人が立っていたので「ひゃあ」と声が出た。
 自分の家だというのに。
 律儀に私たちのことを待って。
 家の前で立っている。

「おかえりなさい、セシルさん」

 久しぶりに会う太陽様は。
 呼び名の通り、太陽にまぶしい笑顔で。
 待ってくれていたのだった。


つづく・・・