色褪せて、着色して。Ⅵ~黒薔薇編~

 ナオミは目をそらした。
 後ろではバニラがにこにこしながら立っている。
「俺は世界で一番強くなりたい。それだけっす」
「そっかあ」
 ゆるぎない目標。
 ナオミはぶれない目標があるんだと知った。

 世界で一番強くなるためには。
 まず、この国で一番を目指す。
 国で最強と言われるのは、国家騎士の肉体班。
 身近にいるから知らなかったけど。
 そんな簡単に国家騎士になれるわけじゃない。

「エアー様。夕食の準備が整いました」
 ピアノを弾いていると。
 バニラが夕食の知らせを告げてきた。

 ゆっくりとダイニングルームへ行くと。
 テーブルいっぱいに料理が並んでいる。
「うぉー、すげー!! うまそう!!」
 ハガネの大声と共に、ハガネのお腹から、ぐぅぅーという音が鳴った。
 椅子に座ると。
 部屋のはじっこで。
 ハガネとナオミが立ってこっちを見ている。
「君たち、今日は一緒に食べよう」
「…護衛はあるじと一緒に食べないっす」
 ナオミが首を横に振った。
 隣に立っているハガネのお腹がまた、ぐぅぅーと鳴る。
「あるじが良いって言ったら、大丈夫だよ」
「でも…」
「わかったあ。あるじ。俺たちに毒見させたいんだろお」
 突然、何を思ったかハガネがとんでもない発言をした。