色褪せて、着色して。~黒薔薇編~

「おばちゃん、さてはブスだから顔隠してんだろ?」
 おばちゃん…
 青髪の男にブチ切れそうになったが。
 黙り込む。
「顔を拝見させて頂けますか?」

 ゴリラ男がやれやれと言って近寄って来る。
 なんだこの騎士たちは。

 後ろに下がるが。
 男たちは、ゆっくりと近寄って来る。
 初日から顔を見られたら。
 まずい。
「お断りしますわ」
 ゴリラ男を睨みつけて、
 歩こうとすると、ぎゅっと腕をつかまれた。
「逃げんな、おばちゃん」
 青髪男は信じられないくらいの強さで私の腕を掴んだ。
「ブスでも仕方ねえだろ。確認するだけだからよ」
 ブスじゃねえよ!!!

 声が出ない。
 この騎士たちの圧はなんなのだろうか。
 初対面でなんでこんな失礼な対応を受けなければならないのか。
 というか、スペンサー侯爵はどうして連絡していないのか。

 ゆっくりと青髪男の手がベールに近寄って来る。
「やめてっ」
 悲鳴交じりに声をあげた時だった。
 強い風が吹いて目が開けられなくなった。
 瞬時に「うわぁ」という男の悲鳴が聞こえたかと思うと。
 何かが倒れる音が聞こえた。