「あんたの旦那さんにもよろしく」
と帰り際、サンゴさんに言われた。
カイくんは「手紙書くね」とスケッチブックに書いて。
笑顔で見送ってくれた。
心にぽっかりと穴があいたままだったけど。
数か月、スペンサー家で暮らすことをバニラに話すと。
案外「そうなのですね」と受け入れてくれた。
バニラのことだから、激高するかと思っていたのに。
すぐに荷造りしますねと彼女らしく、てきぱきと働いている。
数日のうちに荷造りをして。
ぼーと悲しくなる暇もなかった。
夜になって。カスミ様の住む秘密の館を訪れた。
週に一度。
私はカスミ様の旦那様であるヒサメ様にピアノを教えてもらっていた。
ヒサメ様は、ピアニストだそうで。
私のスペックがピアノだということを一瞬で見抜いた。
そして、「あなたらしさがない」と私の弾くピアノの弱点をはっきりと言った。
言われたときは、かちんときたけど。
事実といえば、事実だ。
言われた以上、直したかった。
だから、ヒサメ様にピアノを教えてほしいとお願いした。
「へえー。スペンサー家に行くのかあ」
暗闇の中で。ヒサメ様の声が響く。
ヒサメ様が出した課題曲を弾き終えると。
特に何の指摘もなかったので。
当分の間、出かける旨を伝えた。
21時をすぎた秘密の館はとにかく不気味だ。
エントランスにあるホールで。ピアノを弾いて。
ヒサメ様が一言、二言。何かアドバイスを言ってレッスンは終了する。
一応、お互い既婚者なので2人きりは避けようというわけで。
離れたところでバニラとスズメが見守っている。
ヒサメ様は他人に極力、姿を見せられたくないらしく。
暗闇に紛れ込むようにして会話をしてくる。
「それじゃあ、チャンスだね」
「チャンスですか?」
「外にいるピアニストと触れ合えるチャンスでしょ」
声のするほうを見ると。
ぬっとヒサメ様が現れた。
ぞっとするほどの冷たい笑顔。
見た目は17~18歳にしか見えない。
結局、呪いは解かなかったのか・・・
と帰り際、サンゴさんに言われた。
カイくんは「手紙書くね」とスケッチブックに書いて。
笑顔で見送ってくれた。
心にぽっかりと穴があいたままだったけど。
数か月、スペンサー家で暮らすことをバニラに話すと。
案外「そうなのですね」と受け入れてくれた。
バニラのことだから、激高するかと思っていたのに。
すぐに荷造りしますねと彼女らしく、てきぱきと働いている。
数日のうちに荷造りをして。
ぼーと悲しくなる暇もなかった。
夜になって。カスミ様の住む秘密の館を訪れた。
週に一度。
私はカスミ様の旦那様であるヒサメ様にピアノを教えてもらっていた。
ヒサメ様は、ピアニストだそうで。
私のスペックがピアノだということを一瞬で見抜いた。
そして、「あなたらしさがない」と私の弾くピアノの弱点をはっきりと言った。
言われたときは、かちんときたけど。
事実といえば、事実だ。
言われた以上、直したかった。
だから、ヒサメ様にピアノを教えてほしいとお願いした。
「へえー。スペンサー家に行くのかあ」
暗闇の中で。ヒサメ様の声が響く。
ヒサメ様が出した課題曲を弾き終えると。
特に何の指摘もなかったので。
当分の間、出かける旨を伝えた。
21時をすぎた秘密の館はとにかく不気味だ。
エントランスにあるホールで。ピアノを弾いて。
ヒサメ様が一言、二言。何かアドバイスを言ってレッスンは終了する。
一応、お互い既婚者なので2人きりは避けようというわけで。
離れたところでバニラとスズメが見守っている。
ヒサメ様は他人に極力、姿を見せられたくないらしく。
暗闇に紛れ込むようにして会話をしてくる。
「それじゃあ、チャンスだね」
「チャンスですか?」
「外にいるピアニストと触れ合えるチャンスでしょ」
声のするほうを見ると。
ぬっとヒサメ様が現れた。
ぞっとするほどの冷たい笑顔。
見た目は17~18歳にしか見えない。
結局、呪いは解かなかったのか・・・



