色褪せて、着色して。~黒薔薇編~

 まっすぐに見つめるローズ様の目は美しく、時に恐ろしく。
 自分も負けじとローズ様を見つめているけど。
 いつのまにか、この人とは距離が出来てしまった。
 考えるとさびしい気がしてならない。

 お互い結婚していて。
 バニラに国王のことはどう思っているのかと訊かれたことがあったけど。
 言葉にできない、どうしていいのかわからない感情が心の底にあるのだと感じた。
 ローズ様が結婚したときは、ショックだった。
 だけど、ショックだからといって嫉妬しているのとは、違うと思う。
 大切な人。
 それを恋愛感情といえるのか、わからない。
「イバラ」
「はい」
 ローズ様が名付けた呼び名で呼ばれ、返事をすると。
 ローズ様は立ち上がって、私の隣に座った。
「ルピナスのことなんだが」
 声を絞って小さな声でローズ様が言う。
 誰にも聞かれたくないのだろう。
 私はローズ様に近寄って、声を聞き逃さないようとする。
 耳にかかっていた髪の毛をはらいのける。
「ルピナスを嫌いにならないでほしい」