色褪せて、着色して。~黒薔薇編~

「イバラには、申し訳ないが。王家の問題については、詳細を話すことができない」
 ローズ様はまっすぐと私を眺める。
 その目で見られると、心臓がバクバクとして緊張する。
「今回の件は完全にあのオンナの気持ちの問題だ」
「あの、そちらにもご事情があるのはわかっていますが。結局、私はどうすれば・・・?」
「蘭の養父母の家で2~3ヵ月、暮らしてもらいたい」
 蘭様の養父母の家・・・どこですか?

 養父母というワードが出た時点で、複雑すぎる家庭事情が垣間見える。
「蘭は、もともと。スペンサー伯爵…いや、今はスペンサー侯爵家だったか。跡取り息子として生活していた」
「スペンサー侯爵…」
「城下町にある侯爵家で暮らしてもらいたい。ほとぼりが冷めたら、また今の生活に戻っていい」
「えと…それは、私一人じゃなくて。侍女や護衛も一緒で良いってことですか?」
 なにか罠があるのではという疑問に。
 ローズ様は「勿論」と即答した。

 どうやら、王家がごたごたしているから。一旦、距離を置けということなのか。
 王様からのお願いに。
 私はただ、わかりましたということしか出来ない。
 ふと、バニラが浮かんだけど。
 国王の命令ならば、納得…してくれるかなあ?