色褪せて、着色して。~黒薔薇編~

 まず目に入ったのは、ローズ様だ。
 ローズ様はふだん、王様の格好(なんか言い方変だけど)か、国家騎士団の制服のどちらかを着ているけど。
 今回は、騎士団の制服を着ていた。
 うん。ローズ様はそれでいいとして。
 問題は、ローズ様の隣で。
 脅えるように小さくなって座っている。
 ・・・カレン様だ。

「どうした? ぼーと立ってないで、座れ」
 俺様節全開で、ローズ様が言った。
「失礼します」
 ゆっくりと、ローズ様の目の前に座った。
 ローズ様とカレン様というツーショットは異例中の異例だ。
 何故なら、カレン様はローズ様を嫌っている。

「わざわざ、呼び出して済まなかったな」
 人前では俺様キャラのくせに。
 やさしい言葉にビックリして目をぱちぱちさせてしまう。
 クリス様はいつものように、扉の向こうで待機しているのだろう。
 音をたてないように扉が閉まる。
 カレン様は見るからに、ブルブルと震えている。

「さっそく本題だが・・・」
 ローズ様は隣に座っているカレン様を見た。
 カレン様は口を開いたが、「ああ…」と声を漏らした。
 目が合ったけど。そらされてしまう。
 ローズ様はカレン様を見て、「ちっ」と舌打ちした。

 …ヤバいなこの2人。
 この場の空気が重たい。
 ローズ様の舌打ちに、カレン様は飛び跳ねるように身体をブルリと震わせる。
「あ…あの」
「はい」
 目をそらした状態で、カレン様が話す。
「貴女が悪くないことはわかっています」
「・・・?」
 何を言い出すのだろう。
「貴女が悪くないというのは頭ではわかっているんです。でも・・・でも。どうしても私の気持ちはついていかない」
 突然すぎて、何を言っているのか。
 カレン様にどうすればいいのかわからず、
 ローズ様を見ると、今度は「はあ・・・」と盛大なため息をついた。

 久しぶりに会うローズ様は相変わらず美しい顔立ちをしている。
 目つきは、いつも以上に怖いけど。
「簡単に言うとだな」
「はい」
 ローズ様はカレン様を鋭い目で睨みつける。
「このオンナ…いや、こちらの女性が貴女と離れて暮らしたいそうだ」
「・・・は?」