色褪せて、着色して。~黒薔薇編~

 私から、ルピナス様に面会を求めることなんて、出来ない。
 悶々とした時間を過ごしてきたわけど。
 やっと、あのプロポーズについて解決するのかあ。

 馬車はようやく止まった。
 クリス様にエスコートされて。
 歩いて行く。
 宮殿の中はいつだって、迷路のようで覚えられない。
 だから、必ず誰かが私の家に来て、送り迎えしてくれるんだろうけど。
 クリス様は、迷うことなく足をすすめられるのが凄い。
 しかも、私の歩く速さに合わせてくれる。

 扉の前に立ち止まると。
 クリス様はドアをノックした。
「失礼します。マヒル様をお連れしました」
 扉の向こうから、「おう」という男性の声がした。
 クリス様が扉を開けてくれたので。
 お礼を言って中に入ると。
「えっ…」