色褪せて、着色して。~黒薔薇編~

 ピアノを弾きながら、泣くのは何度目だろうか。
 この国に来てから、本当に涙もろくなった。
 意味わかんない。
 自分の言動が。
 2人は私以上に大人だ。
 ぐずぐずと溢れ出る涙をタオルでぬぐっては。
 手を動かす。

 眠れない夜を過ごし。
 もやもやした気持ちを引きずりながらの日々には。
 必ずあの人が訪問する。

「太陽夫人。ローズがお目見えになりたいとのことです」

 いつもは、誰に会うのか言葉を濁すくせに。
 はっきりと、クリス様は「ローズ」と言い切った。