跳べない君と、はねない私

「あ、こんにちは」

私の隣にいるミキナに気づき、友木くんは軽く会釈した。

「この子、ミキナ。中学からの友達」

そう紹介すると、ミキナはひらひらと手を振る。

「毒霧の友人のミキナでーす」

私は思わず両手で頭を抱えた。

……友達、やめようかな。

「あははっ!昨日のは確かに芸術点高かった」

「高くない!」

反射的にツッコむと、友木くんはさらに、腹を抱える勢いで笑う。

ミキナまで肩を震わせ始めた。


横目で、軽く翼くんを確認してみる。

私は翼くんの、怪訝そうな表情に倒れそうになる。

一切笑ってない…。

この空気で、翼くんも一緒に和んでたりして。と思ったりした私が馬鹿だったらしい。

多分、まだ、昨日のこと怒ってる。


私の微妙な緊張感に気づいたらしい。

「翼?」

友木くんがこえをかける。

「先行く」

それだけ言うと、翼くんはさっさと校舎へ向かって歩き出した。


完全に…。
完全に嫌われてるじゃん。

なに?
この、折れた心を、さらに蹴り跳ばされたような。

もう、立っているのがやっとなんですけど…。

「あ、気にしないで!」

友木くんは苦笑いを浮かべる。

気にせずにいられるわけない。

「翼、感じが悪いだけだから」

「なんだそれ、フォローになってねー」

ミキナは茶化すようにつっこむ。

「翼って誰にでもあんな感じだし。でも、悪い奴じゃないから!」

「絡みづらい奴だなー」

「ちょっと!ミキナ」

私は思わずミキナの腕を掴んだ。

「いいよ、羽村さん。ほんとのことだし…」

友木くんのひきつった笑顔。
ミキナがごめんなさい。と罪悪感を持たざるを得なかった。