きっと瀬戸口さんが相手にしてきた女性は、もっと素敵な人に違いない。それを考えると余計に自分で良いのかという気持ちになってしまうのだけど、実はそういうことじゃなかったようで。
「……いえ、そうではなく。伊千夜さんがあまりに初々しい反応をするので俺の方が緊張してきて、格好悪いな……と」
「緊張? 瀬戸口さんが、ですか?」
思いもしない事を言われて、びっくりして瀬戸口さんの顔をまじまじと見てしまう。こんな素敵な人が、私を相手に緊張してる? まさか、そんな事があるのかと。
どう考えても不釣り合いなのは自分の方なのに、もしかして冗談で言ってるのだろうか?
「意外ですか? 俺もそんな慣れてないんですよ、本当はね」
「そうなんですね。驚いてしまい、すみませんでした」
そう話しているうちに、車は小さな広場のような場所へと入っていく。中心は木に囲まれていて、そこに何があるのかはよく分からない。
けれど、瀬戸口さんはその近くに車を停めて。
「いいえ……ああ、ここですよ。なんだか、隠れ家みたいなお店でしょう?」
そう言われて中心のあたりをよく見ると、小さくてレトロな建物が見える。その姿が幼い頃、祖母に見せてもらったあるものに似ていて驚いた。
「ここがお店なんですか? まるで童話に出てくる、魔女の家みたいです!」
